犬や猫では、さまざまな病気によって「自力で十分に食べられない」状態になることがあります。
特に腫瘍性疾患では、食欲低下や体重減少が治療成績や生活の質(QOL)に大きく関わります。
そのような時に重要となるのが、「フィーディングチューブ(栄養チューブ)」を用いた栄養管理です。 「チューブ=重症」というイメージを持たれることもありますが、
実際には“体力を維持し、治療を支えるためのサポート”として、とても重要な治療のひとつです。
なぜ栄養管理が重要なの?
食べられない状態が続くと、
• 筋肉量の低下
• 免疫力低下
• 傷の治りの悪化
• 抗がん剤や麻酔への耐性低下
• QOL(生活の質)の低下
などが起こります。
特に腫瘍性疾患では、
「がんそのもの」だけでなく、“栄養状態の悪化”が予後に影響することも少なくありません。
そのため、
• 抗がん剤治療を継続したい
• 食欲低下が続いている
• 投薬のストレスを減らしたい
といった場面で、フィーディングチューブが役立つことがあります。
経鼻カテーテル
鼻から食道〜胃へ細いチューブを通す方法です。
比較的簡便に設置でき、短期間の栄養管理でよく使用されます。
メリット
• 麻酔をかけずに設置することができる
• 比較的低侵襲
• 短時間で設置できる
注意点
• 細いため流動食のみ
• 長期管理には不向き
• 違和感で気にする子もいる
• 誤って抜去してしまうことがある

食道ろうチューブ
首の横から食道へチューブを設置する方法です。
中〜長期管理にも対応しやすい方法です。
メリット
• 比較的管理しやすい
• 自宅管理しやすい
• 動物が慣れると通常生活できることも多い
注意点
• 短時間だが全身麻酔が必要
• チューブ周囲の皮膚炎
• 抜去リスク
胃ろうチューブ(PEGチューブ)
お腹から直接胃へチューブを設置する方法です。
長期間の栄養管理が必要な症例で選択されます。
メリット
• チューブが太いため、多様な食事を給餌可能
• 長期管理に向いている
• 栄養投与が安定しやすい
注意点
• 全身麻酔が必要
• 内視鏡や外科処置が必要
腸ろうチューブ
小腸へ直接栄養を投与するチューブです。
胃から腸への排出ができない症例(胃の腫瘍等)や重症症例の術後管理の際に適応となります。
メリット
• 胃を介さず栄養投与可能
注意点
• 管理難易度が高い
• 全身麻酔下での開腹手術が必要
• 合併症を引き起こす可能性がある
腫瘍性疾患と栄養管理
腫瘍性疾患では、
• がん悪液質
• 食欲低下
• 嘔吐
• 抗がん剤副作用
などにより、栄養状態が悪化しやすくなります。
そのため、フィーディングチューブが治療継続の助けになることがあります。
自宅での給餌だけでなく、お薬の投薬も簡便になります。
「食べられないから治療できない」ではなく、“栄養を支えながら治療を続ける”という選択肢があります。
まとめ
フィーディングチューブは、
• 栄養状態を維持する
• 体力低下を防ぐ
• 治療継続を支える
• ご家族の介護負担を減らす
ための医療です。
チューブ設置後に体調が改善し、元気を取り戻す子も少なくありません。 病気や状態に応じて、
その子に合った栄養管理方法をご提案いたします。
札幌市白石区北郷2条13-3-20
札幌総合動物病院きたごう院
獣医師 森文彦