「慢性的な下痢が続く」「体重が減ってきた」という症状でワンちゃんが来院されました。
他院で、低アルブミン血症と慢性的な下痢を認めたことから、蛋白漏出性腸症(PLE)として治療を受けていましたが、なかなか改善がみられないとのことでした。
蛋白漏出性腸症は、腸から蛋白が漏れ出てしまう状態を示す言葉であり、あくまで“症状・病態”の名称であって、正確な病名ではありません。
実際には、
- 慢性腸炎(IBD)
- リンパ腫
- リンパ管拡張症
など、さまざまな病気が原因となります。
本症例では、内視鏡検査による組織生検を実施しました。
その結果、高分化型消化器型リンパ腫(低グレード消化器型リンパ腫)と診断されました。
この病気は、比較的ゆっくり進行するタイプのリンパ腫ですが、
慢性腸炎(IBD)との区別が難しく、血液検査やエコー検査だけでは診断がつかないことも少なくありません。
そのため、内視鏡による組織検査等が非常に重要となります。
当院では、蛋白漏出性腸症(PLE)が疑われる場合には、症状の程度に関わらず、積極的な内視鏡検査を推奨しています。
原因疾患を正確に診断することで、その後の治療方針や予後が大きく変わることがあるためです。
治療では、クロラムブシル(抗がん剤)とステロイドを組み合わせた治療を行うことが多く、
適切な診断と治療によって、長期的に良好な状態を維持できる症例もあります。
一方で、診断がつかないままなんとなくの治療を続けていると、病状が進行してしまうこともあります。
「慢性的な下痢が続く」「低アルブミンが改善しない」「PLEと言われているが反応が乏しい」などの場合には、ぜひ当院にご相談ください。
札幌市白石区北郷2条13-3-20
札幌総合動物病院きたごう院
獣医師 森文彦